十字路とブルースと僕と俺 19
頭ん中と腹の中がぐるぐると廻っていた。「ちょっとトイレ」と言ってコタツから這い出た。小便がしたかったわけではなかったが、いざトイレに入るや否や、勢い良くそいつは出た。おれは用も足し、居間から出たことで冷たい空気にも触れ、酔っぱらって足元はふわっふわっしているものの、頭の中は少しばかりスッキリしていた。
居間に戻ると、開口一番、姉が「ゲロ?」と言った。
「ちげぇーよ」と否定し、スカートのように垂れ下がったコタツ布団をめくり上げ、中に足を突っ込んだ。誰に似たのか、姉は言葉遣いが悪い。というよりは、デリカシーにかけると言ったほうが適切だろうか。二番目の姉も一番上の姉に負けず劣らず口が悪かった。
コタツに入り、酒をちびちびと呷ったあと、「あのさ、じいちゃんてどんな音楽やってたの?」と祖母に質問した。答えは、意外にもすんなりと返ってきた。
「わたしは音楽に詳しくないからわからないけど、仗之助さんはよくブルース、ブルースって言ってたねえ。俺のブルースは…、こいつのブルースは…、なんてよく口にしてたよ」
これはもう決まりだろ、と一瞬思ったが、まだ確信にはいたらない。もう少し決定的なナニかが欲しい。おれは、「その当時の音源とか、なんかそういうもんないのかな?」と聞いてみた。
居間に戻ると、開口一番、姉が「ゲロ?」と言った。
「ちげぇーよ」と否定し、スカートのように垂れ下がったコタツ布団をめくり上げ、中に足を突っ込んだ。誰に似たのか、姉は言葉遣いが悪い。というよりは、デリカシーにかけると言ったほうが適切だろうか。二番目の姉も一番上の姉に負けず劣らず口が悪かった。
コタツに入り、酒をちびちびと呷ったあと、「あのさ、じいちゃんてどんな音楽やってたの?」と祖母に質問した。答えは、意外にもすんなりと返ってきた。
「わたしは音楽に詳しくないからわからないけど、仗之助さんはよくブルース、ブルースって言ってたねえ。俺のブルースは…、こいつのブルースは…、なんてよく口にしてたよ」
これはもう決まりだろ、と一瞬思ったが、まだ確信にはいたらない。もう少し決定的なナニかが欲しい。おれは、「その当時の音源とか、なんかそういうもんないのかな?」と聞いてみた。
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