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黒髪の少年は?−2

[446]  2008-12-27投稿
その日は全員親に子供を帰して、警察や榊さんとその仲間がまだ探し回っている二人を捜すのをずっと手伝った。

しかし、雨ばかりが強く降ってきて私が捜索を止めさせられた12時までには二人は結局見つからなかった。
警察は二人が何者かに連れ去られた可能性が高いとした。
しかし身代金どころか、電話一つ声明一つない。
生存確率は、…低いのではないか。
そこまで考えて私は美祢ちゃんと由宇君の顔を再び思い出した。

美祢ちゃんは、剣土君が好きだったようだった。
由宇君はそれを、寂しげに見ていた。
…由宇君は優しい子だ。かくれんぼの時も、私たちが見つからないように自ら見つかりに行った。

なんとなく、
行方不明になった順番がかくれんぼで見つかった順番と同じだな、と思った。
由宇君で、美祢ちゃん。次は、流君…
頭に血が昇るのを感じた。

だから、剣土君を犯人にしたがるなと何度言ったら分かるんだ…!
もう一度自分の頭を殴ると、私は重い足を引きずって車に乗った。


次の日、朝から保育園に電話がかかった。

流君の両親からだった。

朝、起きたら流がいないと。

いう内容だった。

電話口で泣きじゃくる母親に目眩がした。

目の前が歪む。
吐き気がする。
やはり流君か。鬼に見つかった順番か…?

昨日の夜からの記録的な大雨で、滝の様に降る雨粒が憎らしい。
捜しにも行きにくい。

朝からまた警察が保育園へ来て話をしている。

受話器を落として座り込む私の後ろには、園長の息子で私の同僚である松場恭一がいた。
「大丈夫ですか?」
そう言うと彼は私が落とした受話器を拾ってまだ喋っている流君の親と話しはじめた。

今日は、さくら組の行方不明事件に加え豪雨で臨時休園となっている。
昨日から、親が用心したのかお休みの子が多かったのだが。
今日はどの子にも会う事はないのだろう。

剣土君にも。

…剣土君は。
無事なのだろうか?

後で、クラスの子供たちの家全部に電話をかけよう。
恭一はまだ話している。
終わる気配は、まだない。

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