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ユメクイ 3(完)

[391]  東雲  2008-12-28投稿
そこに男はまたいた。

「どうでしたか?」

「…最悪だったよ」
俺はげんなりした。夢だとしてもあんな姿は見たくない。

「なあもう一度見せてくれよ」

「ではまたあなたの夢の記憶を貰いますが」

「そんなもんいくらでもやるよ」
俺は目をつぶった。男はまた笑った。

「毎度ありがとうございます」

今度は黄色の「道」を行った。部屋のドアを開けた。そこには誰か「男」がいた。誰だあの人。どこかで見たようだが思い出せない。その「男」はホームレスだった。「男」は元は金持ちだったが企業が失敗してホームレスになってしまったらしい。公園で寝ている

俺はもとの場所にいた。何か変だ。誰だっけ。というか俺は何を見ようとしてたんだ。何か忘れている様な気がする。
紳士みたいな男が俺に言った。

「どうでしたか?」

「うーん。よくわからない」

「続きを見せてくれ」
男は笑った。

「毎度ありがとうございます」


「ふああ…」
俺はめがさめた。長い夢を見ていた様だ。なんの夢かは思い出せない。そこで異変に気づいた。

あれ?

何だっけ?

俺って誰だっけ?

わからない。

思い出せない…。


紳士の姿をしたユメクイは満足気だった。やはり人の夢というのはうまい。夢とは記憶。夢を忘れれば記憶もなくす。夢が食え、さらにその相手の記憶がなくなるのは嬉しい限りだ。

おや。

どうやら新しい獲物が罠に掛かったようだ。

ユメクイはその獲物に優しく尋ねた。

「どうでしたか?」

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