携帯小説!(PC版)

発熱

[117]  ふく  2008-12-29投稿
38度の熱の中意識が朦朧とする
こんな時
貴方がもっと恋しくなる

視野も狭まる
瞬きをするのもやっとで目を閉じた

玄関のドアが開く音
狭い部屋なのに何だか遠くに聞こえる
やっとの思いで目を開けると貴方の顔が広がる

心配をして駆け付けてくれたんだろう
情けない表情にほっとする
私の手をそっと握り
『大丈夫?』と問い掛ける
『大丈夫じゃない』と答えると貴方が小さく笑った
力の無い私の手をずっと握っていてくれた
外は寒かったのか
私の熱のせいか貴方の手が冷たく感じる

ご飯を作ってくれたり
水を飲ませてくれたり
こんな時の貴方は凄く優しいのね

側を離れようとする貴方のシャツの袖を掴んだ
『大丈夫だよ』と私の頭を撫でて優しく笑った
不安になったから
帰ってしまうんじゃないかって
私が見せた少しの我が儘
いつもは見せられないから
強がりな私の弱った身体だからこそ出来た事なのかもしれない

ソファに腰掛けて煙草に火を点けた
いつも見る貴方のその姿に不安が消えた

少し眠った
熱も少し下がった気がした
貴方がソファで腕組みをして眠っていた
貴方の側まで行き貴方の頬に触れた
キスをしたかったけど移ってしまうから我慢した
毛布をそっと掛けて
『ありがとう』と囁いた

貴方を独り占めしたくなる想いが込み上げる
心配してくれた事
優しくしてくれた事
それが本当に嬉しかったから

このまま治らなくてもいいやって思ってしまう
そしたら貴方が此処にいてくれる

貴方がちゃんと見える場所にいてくれていたのも貴方の思いやりだった様な気がした
たまには心配をかけてみるのも悪くない
今日一日は私だけの貴方でいてくれたから

馬鹿だけど
この発熱に感謝をした

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