幸運の女神 12
「ねェねェ、なんか凄い事になりそうじゃない?」
「まァ、俺は平和が一番だけどね…」
そうこうしているうちに俺、倉沢諒司と品川恵利花の二人は、李青蘭という女性に渡された名刺の住所へ辿りついていた。
〈時の回廊〉にて…
「何かさァ、占いの館っぽくないね?」
「そうだな。 明るくてアンティークショップか輸入雑貨のお店ってな感じかな」
『恋を叶えるための必須アイテム』
『開運グッズはこれ!』
などと可愛いイラスト入りのプレートで仕切られた棚に、天然石をあしらったアクセサリーがインディアンジュエリーの様に並べられていた。
値段も手ごろで、学生さんにも無理なく買える位。
「見てると欲しくなっちゃうよね〜♪」
「気に入ったのがあれば買ってやるよ」
「本当?」「たまにはね」
エリカのおねだり目線に、俺は快諾していた。
「ようこそ、時の回廊へ」
柔らかな、大人の女性のムードを漂わせた李青蘭が笑顔で迎えてくれる。
「私、占い師には本来不向きなんですけれど、前任の手島美和からここを任されましたので…」
「ええっ!美和さんが占い師やってたんですか!」
驚きのあまり、つい大声を出していた俺。
『鬼店長』こと手島美和は、数年前までメデューサと名乗る占い師だったそうだ。
言っちゃ悪いが、悪らつな魔女って雰囲気の美和さんにはピッタリ……
「うふふっ、美和が聞いたら怒りますわよ?」
「え?… 何でそれを」
エリカが、ニコッと微笑んで俺の脇腹をひじで軽くつついてくる。
「リョージってさァ、す〜ぐ顔に出るじゃん、ね?」
「うふふっ、それもありますけど、私、他人の考えている事が、開かれたページを読むように見えてしまうんですのよ?」
穏やかな笑顔と声のまま、李青蘭はタダならぬ事をサラリと言ってのける。
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