携帯小説!(PC版)

親友

[243]  HIS  2009-01-01投稿
所々ペンキの剥がれた鉄製のフェンスが、ビルの屋上で冷たい風を浴びている…
街を歩く人達を寂しいそうに見つめてる気がした…
手袋を外して、両手をフェンスに添えた…頼りなく華奢で亀裂も入ってる

このビルに住む友達が死んだ、私より50才年上のオジィちゃんな親友…
薬や援交してた頃、ホテルから出合い頭に殴られた…あまりの衝撃とオジィちゃんの眼が潤んでたのを見たら何も言えなかった、そんな出会い…大切な。
オジィちゃんは色々昔の話をしてくれた。大好きな人と駆け落ちしたらしい…一緒に寝て、朝を迎えると彼女が居ないか、自分が殺されてるかもしれない…そんな時代。毎日が命懸けで、瞬きをする一瞬でも全力で彼女を愛してた。そりゃアタシ殴られるよね…
真っ直ぐ過ぎるんだょオジィちゃん…風に身を任せないと身体も心も少しずつ削られてくのに…

冷たくなった手は凄く細くてシワが一杯刻まれてた、今にも崩れそうな指…手を握りながらひたすら泣いた…


この屋上からは色んな人が見える…喧嘩してるカップル、屋上でボぉっと手を合わす人、路上ライブをする人…『色んな人生があるんだろぉなぁ…』

一生懸命生きるから…
オジィちゃん

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