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RPG−12

[236]  たる  2009-01-01投稿
胸を押さえるカナを、驚いた顔でレイが見ている。といっても、今のカナの息の荒さは、今までにしたことのない早歩きをした息切れだ。

「あんな男、絶対だめ。ダメに決まってる!」

感情の入った言葉にレイはこくこくとうなずく。予想外の迫力にそうせざるをえなかったのだ。

***

「ここはレイゴ村。村を抜けて山を越えたらディーシャがいる町だ。4日もあれば着くかな」

レイは地理や魔物に詳しい。いつも旅に出たいと思い、鍛練だけでなく知識も蓄えていたのだ。

「今日は宿に泊まって、明日の朝早く出よう。まずは食料だ」

きびきび動くレイは本当に楽しそうだ。そんな様子を見ていると自分まで嬉しい気分になる。2人は顔を見合わせて笑った。

***

完全に日が暮れる前に買い物を終え、宿屋に来ていた。2階建てで、1階はバーだった。

2人が入ると男達が遠慮なしに見てくる。レイが居心地悪く帽子やマントをいじるカナの腕を取ってカウンターへ進んだ。

こんなにじろじろ見られる中で宿泊手続きするなんて。カナが呟くと、レイが振り返って頼もしい顔を見せた。

「1晩泊めてくれ。1つの部屋で。早朝に出ていく」
「料金は前払いだ。それとこの宿屋のルールだ。部屋の中じゃ帽子は取ってもらおうか」

レイは躊躇なく取ると、カナを後ろ手に指した。

「こいつは病気で帽子とマントは脱げない。うつるかもしれない。向こう島の医者にみてもらう途中なんだ」

もちろん大嘘だ。さらっと言う様子にカナは感心した。しかし屈強な男達がカナを恐れて道を作ったときは笑いをこらえるのに苦労した。

***

タバコ臭い部屋に顔をしかめて窓を開けた。夜風が気持ち良い。帽子を取ってすっきりしたいところだが、それは窓を閉めてからにしなくては。私は伝染病患者なんだから。

「先にシャワー行くよ」
「ごゆっくりー」

カナが窓とカーテンを閉めて答えた。

レイが慣れた様子でカチャカチャと簡易鎧を取っているが、あんなに強くてもやっぱり女の子の体なんだなあと思い直す。筋肉質だけど細くて、丸みは少ないものの女性らしい体だ。

「なに?」
「見とれちゃった」
「はあー?」

正直に答えると、レイは本気にしていないというように器用に片眉を上げて見せた。

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