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手のひら?

[117]  りんご  2009-01-02投稿
一哉とのデートはいつもドライブが多かった。


学生の彼は、私の不規則な休みに合わせてアルバイトのシフトを調整してくれたし、7駅離れた家の距離もあまり感じなかった。


『起きてる?2時にむかえにいくよ』

いつもそんなようなメールがきて、私はすっかり甘えてデートだからとあえて早起きもせず、言われたまま迎えを待っていた

一哉もそれに慣れていたから早起きしようとしなかった


会えばいつも同じようなデートコース。

買い物をして、映画を見て、夜ごはんを食べに行って。
お互い実家で暮らしていた私たちは、車の中でこっそりと抱き合った


課題やアルバイトの合間を見つけて会ってくれるのはとてもうれしかったし、夏には海、冬にはスノボと仲間をまとめて連れてってくれる、お兄ちゃん的な存在も好きだった
そしてそんな彼の助手席に座れることが誇らしかった


大きい手のひら


運転席から私の頭をなでてくれるその手は精一杯の愛情表現だ。



ホントは『好きだよ』『かわいいよ』と言ってほしいけど、それで満足。

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