RPG−16
「おー。来た来た」
担がれて部屋に着くと、あの失礼な男−−賊のリーダーが大きな笑顔でカナを迎えた。
「なんだなんだ、暴れたのか?乱暴な連れて来方だなあ」
「黙れ。次からは自分で行け」
眼光をますます鋭くさせて、男は小さな声で言い返した。それからベッドにカナを下ろした。
頭に血が上ったからか、恥ずかしさからか、カナの顔は真っ赤だ。息と服を整えて口を開いた。が、先にあの目つきの鋭い彼が言った。
「お前の連れが捕まった理由だが、まあ間違いなく宝が関係してる。ここ最近、この山を通る連中が片っ端から襲われてる」
「俺たちなんかよりずーっと怖い賊がな、宝を探すヒントがこの山にあると考えてる」
リーダーの男が彼の肩に手を置いて言った。
「だから近頃はこの山を避けて通る奴らが多い。そんなわけで奴らは久々に来た旅人にテンションが上がっちゃってんだなあ」
「レイは、それで?」
「ああ、レイっていうのか、あの女」
緊迫した状況だと思うのだが、どうもこの男はずれている。レイレイ呟いて、しまいには良い女だよなあと同意を求めてきた。
「助けるんですよね?」
「もちろんだ。お前はここで」
「おいおいおい。ニルバよ」
カナはこの男じゃダメだと、彼に向き直ったのだが、また会話に入ってくる。彼が何だという目で男を見た。
「お前お前って、名前も聞いてないのか?」
「名前?」
彼がこめかみをピクリと動かした。が、すぐに諦めたようにため息をもらしてカナを見た。男のこの緊迫感のなさはよくあることらしい。
「名前は?」
「あ、カナです」
「ニルバだ。こいつは頭のターム」
「よろしくな」
タームが言って、ニルバがまたため息をついた。この人で大丈夫なの?カナは泣きたい気持ちだった。
***
手下の巨漢が戻ってくる気配がしたが、やけに静かなのが気になった。
「口も聞けないようにして連れてきたのか?」
「ボス、違います。いませんでした」
「いない?」
巨漢が縮み上がった。ボスと呼ばれた男はレイの足元にペッと唾を吐いた。
「困ったなあ。え?どういうことだ?」
「いない・・・」
「仲間は1人だったよなあ?後で合流したのか?」
男がレイの頬を叩いて、そしてレイは気を失った。
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