RPG−19
どれくらい眠っていたのだろう。レイはまだ痛む頬に顔をしかめながら周りを見回した。誰もいない。
腕を動かそうとして、縛られていることを思い出す。縄が食い込んでまた顔をしかめた。
その時、扉が開いた。見開いたレイの目に映ったのは2人の男だ。1人は笑顔で、もう1人は眼光の鋭い男だった。
対称的に見える2人だが、共通していることはボロボロの姿であることだ。服はあちこち切れてるし、顔に擦り傷も見える。
レイは驚きの表情を不審に変えた。当然のごとく、何者だと怪しんでいる。あの男の手下とは思えないが、何だ?
いぶかしむレイをよそに、タームはレイの後ろに回った。え、と思っていると、タームは腰からナイフを取り出した。レイを縛る縄を切るつもりらしい。
助ける気かとますます混乱しながらも、ひとまずおとなしくした。が、それをニルバが止めた。
「話が先だ」
そう言って、鋭い目をレイに向けた。
「お前の名前は?」
「聞いてどうする」
「いいから答えろ。ツレの名前は?」
レイが肩をびくりと震わせた。ニルバはレイが本物かどうか調べているのだ。
「あんた何者だ」
「答えろ」
「ニルバ、ストーップ。お前のやり方はしんどい」
「分かった。来い」
ニルバはタームを手招きしてレイの前に突き出した。2人がぎょっとする中で、ニルバが分かるかと聞いた。
「この顔を覚えてるか」
それを聞いてレイがあ、と言った。森で会った賊だと思い出したのだ。しかし、それがなぜここにいる?
ニルバが続けて、ここに来た経緯とカナをかくまっていることを話した。
***
ユーラたちがぱっと顔を上げた。ドアを見ている。カナがどうしたのと尋ねると、帰ってきたという返事が返ってきた。
カナはドアへ走り、廊下へ出た。足音のする方に走った。苦しかった息が気にならなくなる。絡みそうな足が動き出す。レイが近くにいる証拠だった。
2人がお互いの名前を呼んで、実際には半日だが、久しぶりの再会かのように抱き合った。カナがぽろりと涙をこぼしかけてなんとか留める。
「レイ、ごめんね、ごめんね」
そう言うと、レイは優しく笑って頭を撫でるから、せっかく我慢していたのにカナの口から泣き声が出てしまった。
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