ゴス☆ラバ?
俺はキョンに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
玄関の冷たいコンクリート床が脛に伝わり一体化しそうなくらいだった。
『ちょっとちょっと、とりあえず上がって。』
ぐずぐず言いながら俺は床に張り付いた脛を剥がし、茶の間に行った。
静かな間が何分か続いた。
キョンは俺と対面していたが立ち上がり夕飯の支度をしだした。
まな板と包丁の音、ぐつぐつと鍋の中で水が煮えている。他は何も聞こえない。後は夕飯の匂いだけだ。
夕飯が出来た。焼き魚、味噌汁、ご飯に漬け物。卵焼きに大根おろしが添えてある。キョンは普通にご飯を食べている。夕飯を作っていた時と同じく、髪は後ろで縛ったままだ。
俺は一度も飯に手をつけなかった。喉に突っ張る感じがして食欲が出なかった。
キョンは箸を置いて
『何があったのか、ちゃんと話して』
俺は職場で起こった事を全てはなした。
失敗起こして減給されるかもしれない。
下手すりゃクビ。
そして何よりキョンに迷惑がかかる事。全てを吐き出した。
するとキョンは大きな深呼吸をした。
溜め息だったのかどうかはわからないが、テレビの電源の入ってないこの静かな空間は何の音でも大きく聞こえる。
『大丈夫だよ』
この状況で俺がいうのも変だけど無責任な言葉が聞こえたんだ。
「でも生活が…」
この後の言葉で俺は決意を固めた。正式に婚姻届を役所に出そうとと。
『ソウキュウが会社辞めることになっても私が働いてソウキュウ養うから…。だから大丈夫、大丈夫』
キョンは笑っていた。
俺はホントにそうして欲しい訳ではない。そうなってくれたら…と思った事ももちろんない。でもキョンはそこまでしてまで俺と一生を共にしたいという覚悟がそこにはあって、俺はその覚悟が嬉しかった。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られないようにうつむく俺。キョンはまたご飯を食べ始めた。
「……いか。」
『ん?』
味噌汁をすすりながら口を開けないキョン。
俺は顔を二回パンパンと両手で叩き顔を上げた。
「婚姻届出しに行かないか」
と言った瞬間。キョンの口から味噌汁が吹き出した。対面してるのはもちろん俺。
顔に大量の味噌汁とわずかのワカメが張り付いた。
続く
玄関の冷たいコンクリート床が脛に伝わり一体化しそうなくらいだった。
『ちょっとちょっと、とりあえず上がって。』
ぐずぐず言いながら俺は床に張り付いた脛を剥がし、茶の間に行った。
静かな間が何分か続いた。
キョンは俺と対面していたが立ち上がり夕飯の支度をしだした。
まな板と包丁の音、ぐつぐつと鍋の中で水が煮えている。他は何も聞こえない。後は夕飯の匂いだけだ。
夕飯が出来た。焼き魚、味噌汁、ご飯に漬け物。卵焼きに大根おろしが添えてある。キョンは普通にご飯を食べている。夕飯を作っていた時と同じく、髪は後ろで縛ったままだ。
俺は一度も飯に手をつけなかった。喉に突っ張る感じがして食欲が出なかった。
キョンは箸を置いて
『何があったのか、ちゃんと話して』
俺は職場で起こった事を全てはなした。
失敗起こして減給されるかもしれない。
下手すりゃクビ。
そして何よりキョンに迷惑がかかる事。全てを吐き出した。
するとキョンは大きな深呼吸をした。
溜め息だったのかどうかはわからないが、テレビの電源の入ってないこの静かな空間は何の音でも大きく聞こえる。
『大丈夫だよ』
この状況で俺がいうのも変だけど無責任な言葉が聞こえたんだ。
「でも生活が…」
この後の言葉で俺は決意を固めた。正式に婚姻届を役所に出そうとと。
『ソウキュウが会社辞めることになっても私が働いてソウキュウ養うから…。だから大丈夫、大丈夫』
キョンは笑っていた。
俺はホントにそうして欲しい訳ではない。そうなってくれたら…と思った事ももちろんない。でもキョンはそこまでしてまで俺と一生を共にしたいという覚悟がそこにはあって、俺はその覚悟が嬉しかった。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られないようにうつむく俺。キョンはまたご飯を食べ始めた。
「……いか。」
『ん?』
味噌汁をすすりながら口を開けないキョン。
俺は顔を二回パンパンと両手で叩き顔を上げた。
「婚姻届出しに行かないか」
と言った瞬間。キョンの口から味噌汁が吹き出した。対面してるのはもちろん俺。
顔に大量の味噌汁とわずかのワカメが張り付いた。
続く
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