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どうせなら1億

[415]  雛祭パペ彦  2006-06-29投稿
「へっぷし」
 くしゃみをした。
 すると、精霊が現れた。
「3つだけ、好きな願いを叶えるよ」
「じゃあ、叶えられる願いを100に増やしてください」
 試しに言ってみた。
「うん、いいよ。でも100といわずに、どうせなら1億くらいにすれば?」
 まったく悩む様子もなく、精霊は即答した。
「え? よろしいんですか?」
「よろしいもなにも、好きな願いを叶えると言っちゃった手前、しょうがないよね」
 けっこうサバサバしている。
「ということで、あと1億回、好きな願いを叶えることができるよ」
「やったー」
「さあ、どんどん言ってよ」
 精霊は、やけに急いでいた。
「えーと。8000兆円ください」
「オッケー! たった今、きみの預金口座に8000兆円振り込んだよー」
 その瞬間、世界経済が破綻した。
「あみゃむみゃ! やっぱり5兆円くらいでいいです」
「オッケー! 5兆円にしといたよー」
 とりあえず、世界経済は元通りになった。
「さあ! どんどん言ってよ! まだまだ願いは叶えられるよ!」
「で、では、超能力とかを使えるようになりたいです」
「オッケー! 飛翔、瞬間移動、エネルギー波とかを使えるようにしたよー」
「やったー」
 試しに「飛びたい」と念ずると、フワフワと宙に浮くことができた。
「さあさあ、次はどんな願いかな?」
「えーと、うーん、美味しい食べ物とかは5兆円で買えるし、服とか自動車とかニャンニャンとかもお金で買えるし…そうだ。この平凡な顔や身長、体格とかを全てカッコ良くしてください!」
「オッケー! ハリウッドスター級のイケメンにしたよー」
 鏡を見ると、精霊が言ったとおり「イケメンの外国人」になっていた。
「あと99999990回以上も願いを叶えなきゃだめだよー。さあ早くして。早く願いを言ってくれなきゃ!」
 どうも雲行きが怪しくなってきた。
 うすうす感じていたものの、話がうますぎると思っていたのだ。
「おいコラ! 早く願いを言えよコラ!」
 精霊の口調が、乱暴になっている。
「あのう。ちょっと今すぐには思いつかないんですけど…」
「なんだとコラ! 思いつけよコラ!」
 もはや、借金取りの口調に近い。
「す、すいませんけど、思いつくまで待ってもらえませんか?」
 半泣きになりながら言ってみた。

「オッケー! 待ってまーす」

 一体、何が目的なのですか?

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