青春(4)
『−−−く!』
誰?
『−−っくッ』
呼んでるの?
誰を?
『……き、く』
うち?
うちを…呼んでる?
『菊!』
この声は…。
お兄ちゃん?……
『菊!』
この声はお兄ちゃんだ!!
『菊…』
天井が見える…。
眩しいッ
『……お兄ちゃ…』
『菊?…大丈夫か!?』
『うーん……』
まだボーっとしている
みたいだ…。
『菊…菊………』
『だ…大丈夫…。』
『お前…昨日一体…』
拓が言い掛けた途端
昨日の出来事が
菊凪の頭に思い浮かぶ−。
『お兄ちゃん止めて! 思い出したくない!』
その後 菊凪は『やめて』と言う言葉を何度も発した。。
『…菊…。』
拓は困った顔をしている。
『ハァ……ハァ……グス…。 お兄ちゃん……ここ…。 病院……?』
菊凪に一筋の涙が
零れた…。
『そうだよ…だからもう
大丈夫…落ち着いて…。』
拓は菊凪の頭を撫でて
あげる。
『恋って…良いことばっかだって思ってたけど…人をこんなに傷つけるんだね…初めて知ったよ…』
『菊…何があったのか… 言えるか?』
菊凪は時間を掛けて
少しずつ話し続け、兄に
全てを伝えた…。
『苦しいよ…』
『………………菊』
『ふッ…ェェ…ん…』
『菊…』
拓は菊凪の頭を優しく
包み込んだ…。
勇気は結局…。
何が目的だったのかな… あんな事をするために?
あれが目的で
近づいたのかなぁ?
もう勇気とは
ダメになったよ…。
恋が怖くなった…
つぎ…恋をするときは
もっと良い
皆に自慢出来るくらいの
恋がしたい…。
(続)
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