RPG−28
「お姉さんたちは船で来たんでしょ?」
「見てたのか?」
「鏡でね。僕も船に乗りたいんだ」
2人は顔を見合わせた。乗せたいのは山々だが、あの船には別れを告げたばかりだ。
それより鏡の凄さにカナは驚いていた。家の周りを映したり、港を映したり。一体、いくつあるんだろう。
「お姉さんもまだ旅を続けるでしょ?旅には船が1番だよ」
ディーシャの発言は、もちろん2人のお人よしを見抜いてのものだ。
「ただの船じゃなくて海賊船でしょ。私有船じゃないと僕はこの街から逃げられない」
2人はまた顔を見合わせて、そしてふと見た鏡に映る人に声をあげた。シークたちだった。
「なんであの子たちが」
「まさかつけてたんじゃないだろな」
レイが眉をしかめた。
「あの人たち、船の乗組員なの?じゃあ頼んでみようかな」
「あ、ディーシャくんっ。待って待って」
ディーシャは壁にしか見えないドアを開き、外に出た。これも科学?カナは開いた口がしまらない。
ちょいちょいと歩くだけでシークたちの元に着いてしまった。しつこい警官からはこれで逃げるのだとディーシャは説明した。
「すいません」
ディーシャがシークたちの背中に声をかけた。4人は跳び上がった。
「カナだ!」
「レイだ!」
「見つかった!」
驚いたものの、2人の姿を見るとパッと顔を輝かせた。
「船に戻ってくるのっ?」
キラキラした目でそう言われ、カナとレイは困った。船に戻る方が旅には都合がいいだろうが、もうお別れもしてしまった。
しかしディーシャが間髪入れず、はいと答えた。ぎょっとしたカナとレイをよそに、5人はご機嫌に笑った。
***
「ほ、本当にいいんですかっ?」
訳を話すと、タームは快諾した。レイの誘拐計画まで考えていたから、むしろありがたい頼み事だ。
「すいません。ありがとうございますっ」
「うんうん。仲良くやってこう」
「はいっ」
***
「ほんとにすまない」
表情を変えずレバーを動かしているニルバにレイが言った。
「こんなふうに居座るつもりじゃなかったんだけど」
「タームが決めたことだ。俺は何も言わない」
本当は反対したいってか。レイはぺこりと頭を下げて機関室を出た。
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