RPG−31
胸がもぞりとしてレイはゆっくり目を開けた。カナとレイの間で眠るディーシャが寝返りをうったらしかった。
薄いカーテンから漏れる光がまぶしかった。伸びをすると、カナとディーシャも目を覚ました。
甲板に出て、改めて伸びをした。海の風が気持ち良い。と、カナが羽織り物をかぶせてきた。
「子供じゃないんだから」
そんな格好で外に出るなと言いたいらしい。カナはまぶしそうに海を眺めて、くるりと向きを変えた。
「着替えて、タームさんたちより早く何か始めよっ」
「そうだね」
部屋に戻り、またあのよく分からない数式を書こうとするディーシャを止めて、一緒に着替えた。
***
厨房に人の気配がすると思ったら、ムンが朝食の準備をしていた。挨拶を済ませ、カナがムンの横に立つ。
「お手伝いできることないですか?」
「お手伝いねえ」
白が混じったあごひげを撫でながら、ムンが優しい笑みでカナたちを見た。穏やかな笑顔は安心させてくれる。
「皮むきを頼もうかな」
「はい!」
元気良く返事したカナだったが、10分もすればレイと2人でまた甲板をうろつくことになっている。
というのも、ディーシャがタンパク質を溶かすとかいう薬を使い、皮むきを一瞬で終わらせてしまったのだ。
今は感激したムンのためにその薬を増加させ中だ。暇なのはカナとレイだけだ。
ディーシャって科学者っていうより化学者っぽいよなあと思いながらカナたちが海を眺めていると、そのまま何もしないままにみんなが起き出した。
***
「す、ごい」
「なんか臭いし」
2人は何かやることを、とタームに迫り、シークたちの部屋の掃除という仕事を手に入れ、そこに来ていた。
脱ぎ散らかした服、可愛くないぬいぐるみ、汚れたボールなんかで部屋はくちゃくちゃだ。
「捨てていいかな、この・・・犬みたいなやつ」
「う、わ。夜中には絶対見たくないね」
「これ、タームさんがあげたのかなあ」
「だとしたら趣味悪すぎ。意外とニルバのお下がりだったりして」
意外すぎ、と言って笑い合った。ご飯を食べたら、4人を呼んで要るもの要らないものに分けなきゃと話した。
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