時と空の唄11-8
同じ頃、馬も足を止めていた。
「な、なあこいつら何なんだよ」
シドマが恐怖に震えた声で訊いてきた。
今目の前にいるのはいつかシーラを狙ってきたあの黒スーツの男たち。
「なんで…。
なんでこいつらがここにいるんだ!」
サントラーセットで撒いたお陰で完全に姿は消したはずだったのだがまさかこんな山奥まで追ってくるとは予想外だった。
黒スーツの一人が四人を見渡し、無線機で連絡を取り始めた。
「目標は集団にいない。
これより集団を離脱する」暫く会話を交わした後、黒スーツは何も何もなかったかのように四人に背を向け去っていった。
「あいつら…」
「なあ、あんたら何モンだよ?あんなのに狙われてるなんて…」
「聞くな、坊主。オトナの事情だ。」
ラウフは軽くあしらったが表情は何やら目まぐるしく色々なことを考えているようだ。
「だが…あいつらの目的は…おそらく…」
黒スーツを後ろで操っているのはカロウドだ。
カロウドが狙うとすればそれは三種の神器かシーラ。
「シーラか……!」
ぐっと握り締められたランスォールの拳。
僅かに血が滲んでいた。
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