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ロストクロニクル6―3

[371]  五十嵐時  2009-01-12投稿
ドローは手足に凍りついている氷を取ろうと必死にもがいていた。
「財布を返しなさい!」
「分かったって、返すからこの氷をどうかしてくれ」
シャープは氷を溶かしてやった。
「ちくしょー、ひどい目にあったな」
ドローは手足を準備運動の時にように振りながら立ち上がった。
「悪かったな」
ドローはシャープが城の招待状を持っていることに気づいた。
「お詫びに城まで連れてってやるよ。この辺は道がいりくんでるからな」
シャープたちは城を目指していたが、ドローの言う通り道が複雑で迷っているところだった。
「それはいいな。案内してくれ」
「パットさん!もしこれが罠だったらどうするんですか?」
「このまま迷っているよりはましだろ?」
「決まりだな!まぁ、道案内といってももう目と鼻の先だけどな」
少し歩き、広い道に出るとすぐ目の前には丘の上に一国の王の如く堂々と建つ王城があった。
「あれが・・・」
「でかいな!」
「ああそうさ!あれが王位継承第二位の麗しの姫様がいるルパス城さ!」

小高い丘を登り、この大きな家ふたつは入るであろう城門の前までやって来た。ドローは「城の兵士に見られるのは愉快じゃないからな」とどこかに行ってしまった。どうやらそうとうの数の盗みを働いてきたようだ。
「何者だ」
城門にはふたりの兵士が左右に立っていたがシャープたちが城門へ向かってくる途中に城門の中央へ集まってきた。今はふたりで剣を交えて門を通さないポーズをとっている。
「『木彫りの不死鳥』及び『勇者の血』を探索中のタクトについてお話があり参りました。どうか国王とお話をさせていただけませんか」
シャープは膝まづきフィールのことを付け加え、手紙を見せた。
「ああ、手紙を落としたと言っていたな。お前たちが持っていたのか!」
兵士たちの目は盗人を見つめる冷たい目だった。
「俺たちは盗んでないぞ」
「誰も盗んだのか?とは聞いてないがな」
さらに、疑惑は深まった。
「待って下さいよ!わたしたちが盗んだのだったらどうしてフィール・アストラルのことを言うんですか?」
兵士たちは少したじろいだが「戯言をぬかすな!」と今にも襲われそうになったので、城門から壁沿いに逃げた。
「あんな奴ら俺なら倒せてたぞ」
「相手は城を守る兵士ですよ。闘ったらわたしたちの方が悪者ですよ」

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