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ギャグ・クエスト5

[413]  雛祭パペ彦  2006-07-01投稿
「しんでしまうとは、なさけない」
 勇者が目覚めると、そこには国王がいた。
「あ、国王さま。おひさしぶりです」
 勇者は、懐かしさのあまり、目を潤ませる。
 冒険の旅にでて、はや3ヶ月。
 はじめての全滅だった。
「てめえ、お久しぶりですじゃねえよ! なに全滅してんだよ」
 国王はすごい剣幕で、勇者を罵倒する。
「は、はい。あのう…そのう」
 こんなに怒られるとは思わなかったので、勇者は驚いていた。
 後ろを振り返ると、棺桶が3つ並んでいた。
「貴様らが全滅するたびに、いくらカネがかかると思っておるのだ。おい答えてみろ!」
「ええと。たぶん、いっぱい…」
「ふざけるな!」
 怒り狂った国王は、勇者に向かってガラス製の灰皿を投げた。
「ぷばぶぴっ」
 勇者に47のダメージ。
「ひ、ひぃー。たすけてー」
 流血しながら、勇者が叫ぶ。
「土下座して反省しろ!」
 続けて、国王は、勇者にカカト落としをくらわせる。
「どぷぺぴょ!」
 勇者に62のダメージ。
「やめろ!」
 その声は、棺桶の中から聞こえてきた。
「黙って聞いてりゃあ、調子に乗りやがって」
 棺桶のフタがズリ落ちて、戦士が起き上がった。
「おい、オッサン」
「お、お、オッサンだと。わ、我輩に向かって、オッサンとは何事だ!」
 思わぬ暴言に、国王が取り乱す。
「豚め! 国王の姿を装った、このオス豚め!」
 別の棺桶からは、神官が出てきた。
「ちょっと、あんた! あたし達が本気だしたら、こんな城、半日で壊滅できるんだからね」
 家事手伝いの少女が、ハッタリをかます。いちおう「魔法使い」という事になっているので、効果は絶大である。
「なあ、オッサン。ひと暴れしてやろうか?」
 戦士が、腰に帯びた「剣」を鞘から抜いてみせる。
「そういえば、この城には秘蔵の武器庫があるはずです」
 知恵者の神官が、略奪をほのめかす。
「王女さまのクローゼットって、たしか4階にありましたよね?」
 家事手伝いの少女が、きらびやかな衣装に胸をときめかせる。
「あ、わ、悪かった。わしが悪かった。すまん。すまんかったね」
 勇者たちの常人離れした武力を恐れた国王が、態度を軟化させた。

「もうしわけございません、だろ?」

 その後、3時間にわたり、勇者たちの「国王イジメ」は続いた。

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