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僕、日常、神様、悲壮5

[466]  hiro  2009-01-13投稿
体育館の壁とネズミ色の高いフェンスの間に僕たちはいる。
僕と横田と坂本、奇妙な組み合わせだ。
「吉川、てめえずっと見張ってたのか?」
耳にピアスをした坂本が怒鳴る。
バレたからには、僕はやけくそになることにした。
「まあね。誰かさんが殺すとか何とか、ごちゃごちゃうるさいから」
僕は少しビビりながらも強気で言い放つ。
「てめえ、誰に口きいてんだ?ああ!?」
「不良なんてゴミくずだよ、ゴミくず」
「何だと?」
「あっ、しまった。ゴミくずに失礼だった」
「てめえ、ふざけてんのか」
「ごめんなさい、ゴミくずさん」
(おらぁ!)
(うぅっ…!)
鈍い音が耳に染みる、と同時に頬に激しい痛みを感じた。
僕はバランスを崩し、その場に倒れ込んだ。
血の味が口中に広がる。
「覚悟しろ!ぶっ殺してやる!」
坂本はどこからか果物ナイフを取り出した。
気付けば、いつの間にか横田はいなかった。
「ぼ、僕を殺す前に、何で僕を殺したいのか、お、教えてよ…」
僕は力を振り絞る。
「美優だよ」
「み、美優ちゃんがどうしたんだよ」
「てめえさえ居なければ、美優は俺のもんなんだよ!」
坂本は狂ったように叫び、僕にナイフの先を向けてきた。
僕はあまりの恐怖に身動きができない。
神様、助けて!
(バウぅぅぅ!!)
そこで、犬の声が大きく響いた。
フェンスの外側に、柴犬が立っているのが、見える。
ー続くー

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