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夕焼け〔1〕

[402]  ニコル  2009-01-13投稿
見上げるとそこには真っ赤な夕焼け空が広がっていた。
川沿いの並木道にはいつもと同じ秋の匂いが吹き込んでいる。

「順平のとこにおじいちゃんがいたの覚えてるだろ?」
不意に父さんが話し始めた。


順平とは僕がとくに仲のよかった幼なじみのことだ。
僕が小さく頷くと父さんは話しを続けた。

「あの人がどうやら厄介な病気にかかってしまってな、もういくらも生きられないようなんだ。」

「ほら、おまえあの人にはずいぶんお世話になっただろ?」
そう言って父さんは目を細めながら遠くを眺めていた。


順平とは小学生卒業以来あまり遊ばなくなったので、おじいちゃんとはもう5年以上も顔を合わせていないことになる。

僕はこの唐突な話に戸惑いを隠せず、複雑な気持ちのまま足を進めた。




家路をたどる間、僕と父さんの足音だけが静かな川沿いの道に鳴り響いていた。




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