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銀の青年 2

[362]  紅月 蒼  2006-07-02投稿
従兄弟だと紹介された青年は、紫暗の瞳に肩までの漆黒の髪。精悍な顔。
「フィル。精霊と契約をしたのか?」
「まあね」
三人の精霊を見て、ライエンは訊くと、答えたフィルは精霊達を紹介した。

「ライエンは僕より五つ上でね、騎士なんだ。僕に剣を教えてくれた、兄みたいな存在だよ」
誇らしげに語るフィルを、ウンディーネは微笑みを浮かべて見ている。こんな風に話すフィルを見るのは初めて。歳より幼く見える笑みを浮かべて、本当に嬉しそうなのだ。
「俺が剣を教えなくても、フィルは充分に強い。俺には少ししか魔力がなかったから、剣の腕をみがいて強くなる道を選んだが、フィルは生まれながらに強い魔力を持っていた。それを使うための、強い意思も有る。剣を教えても、使う事は無かったんじゃないのか?」
困ったように笑うライエン。確かにフィルは強力な魔力を持っている。ドラゴンと話すこともでき、倒すこともできるほどの。そしてその力を駆使する事も、幼い頃からできていた。
フィルは笑みを消して、ライエンを見る。
「僕は剣を使ったよ」ただ一言。ライエンは少しだけ驚いた顔。
「母国を滅ぼした奴らが死んだって…知ってる?」
静かな声。
「ああ。確か殺されたと、噂で聞いたな。剣のようなもので斬り殺されたと…」
そこで話を止めた。 まさかとは思うが…
ライエンの考えを知ってか知らずか、フィルは澄んだ声で話す。
「僕が殺したんだよ。剣を使ってね」

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