さかなのはなし 1
強い吐き気にマヤは弱々しく手を上げた。
白いチョークでマヤを指して、どうしたと先生が言った。
熱心に黒板を見つめていたクラスメートたちもマヤを見る。
「気分が悪いので保健室に行っていいですか」
「まあダメだとは言えないからなあ」
嫌味な言い方に何人かが小さな声で文句を言った。
というのも、夏休みを前にして、トイレや保健室を理由に授業をさぼる生徒が増えてきたのだ。
昨日も、授業中に廊下を歩いていたのが見つかって、常習犯の生徒たちが呼ばれていた。
マヤはうつむき気味に立ち上がって教室を出た。
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