「どうだね？ウーベンス死刑囚」
「そのいい方はよしてくださいよ。博士」
「いや、君はまだ死刑囚なんだよ。」
「成功するまで――ですよね。」
「ああ。」
　ウーベンスはコーヒーを飲んだ
「いい香りだ。クランになれば香りがわからなくなる――その香りが最後の香りになるのか――いや、させやしない。」
「自問自答――緊張しているようだね。」
「勿論だ。下手したら死ぬんですよ。」
「君は死なない！私の作品として成功を収め、私も君も地球のために命をかけるんだ。有り難く思え。」
「有り難く思っていますよ。私も博士に声をかけてもらった時は嬉しかった――高校の時の親友である君に会えたのと最後に人のためにできることも。」
「君が全米を騒がせる連続殺人鬼になるような道にゆくとは到底思っていなかったが――今は違ってるということだ。」
ドアを叩く音がして博士は答えた。
ウーベンスは何も考えることはできなかった。
実験は開始され成功し、クランとなったウーベンスは宇宙に他の元死刑囚と共に向かった。
地球に残ったウーベンスとなったウランは意識はあるが、何も抵抗する気配はなく、実験は順調に進んでいった。

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