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守るべき者

[199]  求めない者  2009-01-21投稿
ラーメン店の朝は早い。 ガラを茹で洗って血抜きした後、ナタで割り寸胴に入れていく。ガラにも種類があるが、流行りは背ガラ、それにゲンコツである。玉葱などの野菜を入れ煮込んでいく。 強火なら白湯、弱火なら澄んだスープになる。 この店の主人聡が作っているのは、白湯の方である。
聡は40才、妻と高校生の娘それにちょっとわがままな中学生の息子がいる。
開店して17年、この街では名の通った繁盛店である。
そんな聡はよく夢を見る。大勢の弔問客が啜り泣く声、響き渡るお経、見れば二人の子供達は、「お父さん、お父さんやだよ」と叫び泣き崩れている。
そんな二人を後ろから見ながら、聡自身も泣いているのである。
そして、本当に泣いている、大声で、決まって自分の泣き声で起きるのであった。そんな夢がそして自分が、聡は気にいっていた。
子供を愛している、そんな実感を得る事ができると思っていた。
しかし聡がこんな夢を見るのには訳がある。
ひとつには、子供がまだ小さい頃に開店した為、大事な時期に手をかけてやれなかった事。
もうひとつは、妻と子供達が、残念ながら上手くコミュニケーションが取れていなかった事である。
そんな子供達を、聡はいつも不憫に思っていた。
それ故に、あの夢である。
しかし聡はこの先、もっと苦しい現実に追い越まれてゆく。

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