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ノイズ‐NOISE‐第四章?

[332]  紀夜  2009-01-23投稿
 すでにもとの姿とはほど遠くなってしまったフィオナ、いや、自称クリスは血に染めたような紅い瞳でウィルを睨み付ける。睨み付ける、という表現とは少し違うかもしれない。そう思わせるのは、クリスの表情に浮かんだかすかな笑みによるものだろう。
 恐怖と混乱で動けずにいるマリアをよそに、クリスは目蓋をおろした。その時。

キィィン 

甲高い音波が鋭い痛みと共にウィルの耳奥にまで響いた。
 その波は脳にまで押し寄せ、ウィルのバランス感覚を失わせた。

ぐらっ

両膝が地に着く。
(なんだよこれ…?!動けない…!!)
 動けぬままのマリアはその光景を目の当たりにしていた。
 クリスが目蓋をおろすと、筋張った羽を大きく広げ、摩擦と言っていいほどの速さではばたいたのだ。
 そしてクリスは、消えた。はばたいたとたんに姿が見えなくなったのだ。その直後だ。ウィルが倒れたのは。
 「あら?どうしたの?ひざま付いて。」
クリスの声が、上空から聞こえた。今までに感じたことのない重力が、頭を上げようとするウィルを押さえ付ける。

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