○●純+粋な恋●?
3-? 初夏の路
『師匠ぉ!!』
凄い勢いで,部屋に生徒が駆け込んできた。
それは紛れもなく,粋乃の弟,拓和だ。
『おやおや,元気ですねぇ拓和は。1人で来たのですか?』
純は拓和の頭を撫でた。
昔から純は子供が好きなのだ。
『ううん,姉さんと一緒に来た!!』
『お姉さんと?』
『こら拓和!!挨拶も無しに失礼でしょう!!』
遅れて拓和の姉,粋乃が入ってきた。
『拓和が,いつもお世話になっております。』
粋乃は手をついて丁寧に頭を下げた。
『書道家の淡矢純です。拓和君にお世話になっているのは,むしろ私の方なんですよ。』
純は顔を上げた粋乃を見て思わず息が止まった。
『あ,あなたは‥』
『初めまして‥ではないですね,拓和の姉,階堂粋乃です。先日はありがとうございました。』
先日とは,初めて粋乃と出会った桜並木の墓での事だ。
『驚いたなぁ,まさかあなたが拓和のお姉さんだったなんて‥』
純は,急に嬉しさがこみ上げた様な気がした。
『そうですか?私は,最初からあなたを知っていましたよ,』
ー 最初から?
純が疑問に思った時,
『師匠ぉ,どうして教室お休みなの!?』
拓和が割り込む様に純に尋ねた。
●○続く○●
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