○●純+粋な恋●?
4-? 夏の訪問者
最近はめっきり暑くなった。所々から聞こえる蝉の声が,余計に暑さを増している気がする。
『私は,
治療しませんよ。』
純は病を告知した京太郎に言った。
告知されずとも,自分が難しい病だと言うことは分かっていた。
『どうせ死ぬなら私は無傷なまま死にたい。
それに,治療したらここに居られなくなる。』
『お前は,そう言うと思っていたよ。』
京太郎は純に向き直った
『だが,俺はお前に少しでも長く生きていて欲しい。弟が死んで行くのを黙って見ていたくないんだ。だから‥』
『治療はしません。』
断固として純は意見を変えない。
『私は,子供達の通ったこの場所で,
温もりを感じながら死にたいんです。』
『しかし‥』
『お願いします!!』
純の目には涙が浮かんでいた。
それだけ必死なのだ。
そんな純を見て,
『そうか‥』
と言ったきり,
京太郎はもう治療をしろなどと言わなかった。
●○続く○●
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