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恋の滑走路?

[342]  超ナタデココ  2006-07-03投稿
ただ、乱雑に荷物が散らかっているだけ。男子部室特有のにおいが、ツンと鼻に届
く。
汗とスプレーが混ざったような――事実上、混ざってるが――それも今は気にならな
かった。
「どこいったんだ!?」
もう一度ゆっくり辺りを見回してみる。
すると不意に目の前が真っ暗になった。
突然のことに、多少驚きつつも、すぐに悟る。
今、自分の視界を奪っているのは“手”だ。
「だ〜〜れでしょ??」
「あ…明希。」
目から手が外され、光が入ってくる。
多少強く手を押し付けられたせいか、多少視界がぼうっとした。
それでも、体を反転させると、明希の姿が視野に入った。
「あたり。てか勝手に入ってきちゃダメだよぉ。
 私が着替えてたらどぉするつもりだったの?」
咎めるような口調の明希の言葉。
う、と晴輝は言葉に詰まった。
「あ…ごめん。」
もちろん、それもそうだ、そうだけど――さ。
「……それよか心配したぞ。ったく、もうどこにも行くなよ。」
とりあえず、正直な気持ち。
後半は多少、ぶっきらぼうに投げかける。
落ち着いた意味はどこへいったか、心臓が小太鼓をたたき始める。
「……ぅん、晴輝こそどこにも行かないで」
いつもより、トーンの低い声だった。返ってきた返事に、
あからさまに晴輝は疑問気な表情を作った。
焦点を定めて、明希を眺めてみる。
そこにあるのは、昔から馴れ親しんだ同級生の姿。
ただ、その表情は三年間見てきたどれとも違う。
「は?別に俺はどこにも行かないけど…」
「もうどこにも行かないで」
聞こえたのか聞こえてないのか、更に続く明希の涙ぐんだ声。
「だからどうしたんだよ?」
晴輝はすっかり困り果てつつ明希を見つめる。
彼女に対し抱いていた印象は、兎に角明るい。
三年間、クラスが同じだったりで、色々見てきたから、明るい事に間違いない。
修学旅行で、男子ですら怖がるようなアトラクションに“ノリ”で勇んで入っていくくらいだから、太鼓判付だ。
だからこそ、弱気な声をあげる彼女は、晴輝の中では異端な存在だった。
明希は一歩晴輝に近づくと、更に言葉を紡いでいく。
「晴輝は…どんどん遠いところに行ってるんだよ。
 最初は同じところで号砲を聞いたのに、どんどん先に行っちゃうんだよぉ。」

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