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恋の滑走路?

[328]  超ナタデココ  2006-07-03投稿
明希が泣き出す。わっという泣き方ではなく、すすり泣きのようなそれ。
どことなく、感じ取れる。それが本当に哀しい時の泣き方だってこと。
――もし、もし悲しんでる理由が――
あらゆる理由を考えたが、どんな理由を考えても、胸に罪悪感がたまっていく。
深く黒味を帯びた水溜りが、胸へと流れてくる。
「明希は……自分が置いていかれてると…思ってるのか?」
泣いている明希をじっと見つめる。
「……ぅん……晴輝は、走るの…速い…もん………」
途切れ途切れに返ってきた返事。
あぁ、そうか、と晴輝は自分なりに納得する。
そして、そっと顔を明希に近づけ、表情を崩した。
温和な、優しさを帯びたそんな顔。
「ならさ、俺はどこにむかってると思う?」
質問、というより問いかけ。
具体的に違いは自身でもよくわかってないけど、とにかく問いかけ。
「………わかんないよ」
明希の返事には力がない。
既に彼女は視線を下げ、晴輝の顔を見ていなかった。
そっと、彼女の肩に手を置き、更に言葉を続ける。
「実は俺、前から思ってた…………明希のところへいきてぇんだって」
――トマドイ――
そんな言葉が、何よりも良く似合う。
色々な感情が心の中で交錯し、交じり合い、反発する。
でも、そのなかでもしっかりとした湧き上がる感情があって。
戸惑いつつも、さっきまでよりもずっとはっきりと言う。
「ぇ!?…私なんか晴輝のずーっと後ろで立ち止まってるだけ……」
言葉を遮るように、晴輝が明希を抱きしめる。
明希は驚いた表情を作るが、抵抗はしなかった。
「俺にとって明希は………ずっと遠くにいた…
 ゴールよりまだ向こうにいる気がした……憧れだった…。」
そっと、彼女の耳元で晴輝が囁く。
「晴輝…」
明希は晴輝の胸の中で泣き続ける。けれども、その理由は先ほどとは違う。
「高校入ったときのこと覚えてるか?
 あん時、おまえさ『男の子だったらやっぱ全国で1番だよね!!!
 晴輝ならできるって!そしたら私が?1のマネージャーだ!やった』って…」
話してから、へへっと晴輝が苦笑いをしてみせる。
つられるように、明希も苦笑を浮かべた。
「……もぅ…いつの話してんのぉ……」

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