PRICE?
「その犬はあなたのですか?」
「あぁ、こいつのことか。」
「昨日雨が降ってただろう。その時に家の前で濡れているのを見てな。それで親近感が湧いたから連れてきたんだ。」
「…首輪を付けているが、あんたの犬かい?」
「いえ、オレの犬ではありませんが探していたんです。連れて行ってもいいですか?」
「ふーん。まあ、こいつが家に帰られるならそれでいいや。」
「ここは犬小屋みたいでもこいつの家じゃないからな。」
ケースケはお礼を言い、豪邸へと向かった。
ピンポーン
「はーい。どなたですか?」
「あの、この犬は前の紙に載っている犬じゃありませんか?」
「え?ちょっと待ってください。」
ガチャ
「…まあ。ずっと探していたのに見つからなくて諦めてたのよ。」
「本当に何と言ったらいいのか…。ありがとうございます。」
この家の女主人なのだろうか。涙を流して喜んでいる。
(さあ、お礼は何がもらえるのかな。)
「すいませんが、少し待ってもらってよろしいですか?」
「あ、はい。」
「ん?」
女主人は大きく膨れた袋を2つ持って出てきた。
「あなたのお口に合うか分かりませんが、地元の友達が送ってきたスイカです。」
(…は?スイカ…?)
「スイカですか…。大好きです。ありがとうございます。」
とりあえずお礼を言い、ケースケは家に向かって歩きだした。
「…ちくしょう。重いんだよ。…なんで2個も。」
ケースケは愚痴をこぼしながら歩いた。
その後ろでは、女主人がケースケの姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。
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