○●純+粋な恋●?
4-? 夏の訪問者
†
それから粋乃は毎日純を見舞いに来た。
いつの間にか寝てばかりの純の,楽しみの1つになっている。
『最近,あの子よく来るな?』
京太郎は言った。
『以前,お前が出会った桜並木の心優しい女とはあの子の事だろう?』
『え,そうですが‥何故それが?』
粋乃が桜並木の女だとは一言も兄には言っていなかった。
『お前を見ていたら分かるよ。』
『私を?』
『ああ。』
と,京太郎は純を覗き込む様に見た。
『最近のお前は,幸せそうだ。』
『幸せ‥?』
純は何だか恥ずかしくなった。粋乃と会っている時に感じる暖かさは,幸せだったのだと今頃気付いたのだ。
『そうか,これは幸せだったんですね。』
純は続ける。
『私は知りませんでした。家族や兄弟とは違う幸せを,あの人が運んで来てくれている事を。』
『やっと,気付いたんだ な。』
『‥はい。』
純は天井を見上げ,粋乃の笑顔を思い出した。
『私は恋をしている。』
言葉に出した時,
粋乃への感情が苦しい位に溢れた。こんな気持ち純には初めてだ。
『お前がいつそれに気付くのか,俺は不思議に思っていたよ。』
京太郎は純をからかうように言った。
『酷いなぁ,教えてくれれば良かったのに。』
『そう言うものは,自分で気付かねば意味が無いんだよ。』
京太郎は既に嫁を貰っている。だからそう言う事に少しは詳しいのだ。
純は聞き分けの良い子の様にじっと兄の言葉を聞いていた。
●○続く○●
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それから粋乃は毎日純を見舞いに来た。
いつの間にか寝てばかりの純の,楽しみの1つになっている。
『最近,あの子よく来るな?』
京太郎は言った。
『以前,お前が出会った桜並木の心優しい女とはあの子の事だろう?』
『え,そうですが‥何故それが?』
粋乃が桜並木の女だとは一言も兄には言っていなかった。
『お前を見ていたら分かるよ。』
『私を?』
『ああ。』
と,京太郎は純を覗き込む様に見た。
『最近のお前は,幸せそうだ。』
『幸せ‥?』
純は何だか恥ずかしくなった。粋乃と会っている時に感じる暖かさは,幸せだったのだと今頃気付いたのだ。
『そうか,これは幸せだったんですね。』
純は続ける。
『私は知りませんでした。家族や兄弟とは違う幸せを,あの人が運んで来てくれている事を。』
『やっと,気付いたんだ な。』
『‥はい。』
純は天井を見上げ,粋乃の笑顔を思い出した。
『私は恋をしている。』
言葉に出した時,
粋乃への感情が苦しい位に溢れた。こんな気持ち純には初めてだ。
『お前がいつそれに気付くのか,俺は不思議に思っていたよ。』
京太郎は純をからかうように言った。
『酷いなぁ,教えてくれれば良かったのに。』
『そう言うものは,自分で気付かねば意味が無いんだよ。』
京太郎は既に嫁を貰っている。だからそう言う事に少しは詳しいのだ。
純は聞き分けの良い子の様にじっと兄の言葉を聞いていた。
●○続く○●
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