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奈央と出会えたから。<318>

[653]  麻呂  2009-02-04投稿

『とにかく2人とも頑張れよッ。

俺、出れねーケド、応援だけしとくからよ。』



どこか無責任な、その言い方は、いかにも聖人らしいとは思ったケド、



聖人が言う様に、とにかく頑張るしかないのかもって思った。





当日の朝は――



絶好の体育祭日和だった。



聖人は、体育祭に参加しないから、



この日は学校を休むって言ってた。



聖人。



応援に来てくれないのかなぁ。



『本日は、PTA会長、秋田谷様をはじめ、多数のご来賓の方々にご来校いただき、ありがとうございます。

高いところからでは、ございますが御礼申し上げます――』


開会式は、校長の挨拶から始まった。



あたし達の中学校では、6クラス縦割り6団対抗戦で、



赤、黄、青、緑、ピンク、白で色分けされている。



あたしのクラスは赤。



1チームに1年から3年まで入っているから、チームの結束力が要求されるんだ。



『奈央〜。“騎馬戦”何時からだっけ?!』



ユカが不安そうな声であたしに聞く。



『“騎馬戦”は午前中だね。

でも大丈夫だよ。騎手はみんな女の子だし。』



本当は人の心配してる余裕なんて、あたしには無かった。



運動音痴のあたしにとっては、口から心臓が飛び出しそうなほど、緊張してたから。





“キャーッッ☆”



“キャー!!



先ぱぁ〜いっっ♪



各チームの、“3年生の応援団長”目当ての女子の黄色い声が飛び交う中、



各団それぞれの応援合戦が始まった。



6チームあるから、結構時間がかかる。


『ユカ。あたしも緊張して来た。

“スウェーデンリレー”って始まる時間早いじゃん。』



『“騎馬戦”のあとだよ、奈央。』



『本当に?!じゃあお昼くらいかぁ。』




聖人。



今頃何してるのかな。



もしかして、



まだ寝てるかな。



結構、お昼寝好きみたいだしッ。



それとも外出してるかもね。



体育祭のプログラムは順調に進んで行き、



全員参加の玉入れと綱引きも、



思いのほか盛り上がった。



聖人と一緒に参加出来たら、



もっと、



楽しかっただろうな――



そんなコトを考えながら、



あたしは自分の出番を待った。

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