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ロストクロニクル7―6

[426]  五十嵐時  2009-02-07投稿
「炎のスピードが上がったぞ!」
「とにかく走るんだ!」
三人は無我夢中で走り始めた。
走り始めてからまもなく、目の前に再び四匹の犬が現れた。
「なに?あの犬!」
「大丈夫。僕に任せて!」
タクトは剣を手に取ると一目散に犬の集団に飛び込んだ。
「バカヤロウ!あいつ一人で突っ込みやがった」
「ウェド!どうするの?」
「俺の攻撃はあいつらには効かない。しかたねぇ、こっちに来い!」
ウェドは右に進路をとった。
「タクト。絶対に死ぬなよ」
ウェドはひとり呟いた。

タクトは火が近づいてくることも忘れて、ひたすら次々と現れる犬たちを斬っていた。だが、タクトの体は犬の攻撃を避けきれず、所々から血が流れていた。
「さぁ、かかってこい!」
剣の一振りも重く、フラフラになっていた。
「そろそろ、パールたちも遠くまで逃げれたかな?」
タクトが踵を返して、パールたちを追いかけようとした時、やっと気付いた。炎は目の前まで来ていた。
炎はあっという間に犬もろともタクトも一緒に包み込んでしまった。

「パール!早くしろ!」
「ちょっと待って。・・・足が痛いの」
「まったく」
ウェドはパールの元へ駆け寄ると、背中に乗るよう促した。
「いいの?」
「心配するな。タクトでも担げたんだ。俺が担げない訳ないだろ」
パールはウェドの頭を思い切り叩いた。
「そういう意味じゃないわよ。失礼ね!」
怒りながらパールはウェドの背中に乗った。
「なんなんだよ。訳わかんねぇ」
パールに聞こえないように小声で呟くと、そのまま走り出した。
「なんで怒ってんだ?」
ウェドはパールに問いかけたが、無視された。
「おい!」
「ちょっと待って、あそこに誰かいる」
パールは遥か前方を指した。
ウェドは目を凝らしたが全く見えなかった。
「こっちに向かって走って来てるわ」
「目がいいな。全然見えねぇ」
「大変だわ!あの人も火に追われてるわ!」
反対側から迫ってくる炎はウェドにも見えた。
「どうなってんだよ!なんで反対側からも炎が来んだ!」
堪らなく苛つく。
「・・・もしかしたら・・・降ろしてちょうだい」
ウェドはパールを地面に降ろした。
「どうしたんだ?」
パールはウェドの声にも反応せずに弓を反対側の炎に向け引き絞った。

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