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涙のワケ。 ?

[314]  奈緒  2009-02-07投稿
別れ

「美貴は…」

「…まだよ」

「そうですか…」

「奈緒…」

「ごめんね、皆」

「大丈夫だよ」

ガラッ―\r

「先生!!」

手術室から出て来た医師に、美貴のお母さんはすがりつくように近付いた。

「美貴は…?」

「すいません…私どもは精一杯やりましたが…」

「いやぁぁぁあ!!!」

美貴のお母さんは、その場で悲鳴をあげて泣き崩れた。

あたしは、持っていた鞄を落としてしまった。

涙でどんどん視界がかすむ。

「美貴…ごめんね…」

助けてあげられなくて、ごめんね。

もぅ涙しか出ないよ。

美貴に、頼ってばかりだったね。

あたしに頼って欲しかったよ。

美貴と一緒に遊んだこと、美貴と勉強したこと、絶対忘れないよ。


美貴。ありがとう。

ありがとう…。

こんなに人を失うのが、辛いなんて思わなかったよ。

まさか一番の友達がいなくなるなんて、ね。

「ねぇ、奈緒」

「何?」

「あそこに弘樹クンいるよ?」

「……」

「…奈緒、」

「ごめん、梨奈。」

「ん、ばいばい」

「…別れる?」

「え…」

「奈緒が俺のこと、信じられないんなら別れよ…?」

かすれた声が、大好きなんだって言えばよかったんだ。

「ごめんね…弘樹」

「俺さ、葵と付き合うことにした」

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