○●純+粋な恋●25
5-? 初秋の桜
粋乃は純の部屋の前で
ばったりと京太郎に出くわした。
京太郎は,
泣いている粋乃を一瞬目を丸くして見たが,
すぐに粋乃を自分の部屋へ入れた。
†
『純を,恨まないであげて下さいね。』
粋乃の茶を入れながら言った。
京太郎は全てを察していたらしい。
『純さんを恨むだなんてあるわけないです。ただ,悔しい。』
『悔しい?』
『今まで気付く事が出来なかった。私は,純さんの重荷だったのだと。』
粋乃はまた泣き出しそうな顔をしている。
京太郎は手元のお茶をすすった。
『そうでしょうか。
純が,あなたを重荷だと思っていたのなら,あんなに幸せそうな笑顔を見せるわけないですよ。』
『‥。』
『それに‥』
京太郎は茶を置いて粋乃を見た。
『純は,本当にあなたを愛していました。』
一番気になっていた答えを京太郎に言われ,粋乃は思わず顔を上げた。
『何故,何故そう言えるのです?』
京太郎は
穏やかに笑った。
『あなたの幸せを一番に願った事が,何よりの証拠ですよ。』
目元が純に似ている。
そんな京太郎を見て,
粋乃はまた涙した。
●○続く○●
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