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航宙機動部隊前史後編・32

[511]  まっかつ  2009-02-10投稿
より重用なのは、アンドレア=ネスティに代表される最終聖戦思想が、兵器のみならず、戦略にまで用いられた事であった。
それまでは、僅かな例外を除けば有人惑星や非武装の人工植民体に直接攻撃を加える者は居なかった。
だが、この第四次大戦では、ついに禁断の扉が開かれ、地獄の釜の蓋が開けられたのだ!

闘い方も、敵に打撃を与えてその戦闘意思を奪い、退却させればそれで終りと言う、旧来の会戦形式は否定され、最後の一隻一名まで破壊し尽す殲滅戦が主流となった。
その根拠を、同時代の提督、カフナーが、後になって自伝内で詳細に分析している。
【とどのつまり、敵は、否、味方すら含めて我々は全てこれ国家と言う絶対神に服従する狂信徒だったのだ。
全員が全員狂信徒だったのだから誰がその事実を深刻に考えられただろうか?
我々は自らが使える国家以外のいかなる存在を認めずお互いその排除を目指し仮に自分以外の勢力に捕まれば降伏よりも抵抗か自爆の路を選んだ。
味方も敵もその時は全く同じ事しか考えていなかった―\r

幼い時から国家カルトに洗脳された我々が例え力ずくであったとしてもどうして自らの宗教を投げ棄てられたであろうか?
そうだ。
昔の様に軍民問わず捕虜にして労働力として利用すると言う経済方式がもう通用しなくなって来たのだ。
これでどうして敵を味方にする何て出来ただろうか?
今や戦場でも征服地でもただ殺せ殺せ消滅させよ浄化せよとの叫びしか聞こえなくなってしまった。
我々がここまで堕ちるまでに五年もかからなかったのである―】

次々と恐るべき浄化戦術が開発された。
その最たる物が、有人惑星に亜光速実弾をぶち込む《屠星》と呼ばれるやり方だった。
正に星ごとみな殺しな訳だ。
人類史上初めてこの戦術が採用されたのは、四00万の地上軍を投入しても、粘り強いゲリラ戦の前に、中々制圧出来ないギジロック星系・首都星バルデラでであった。
一五隻の戦艦から放たれた合計七二発もの亜光速実弾《SLSV》は、この星に住む七六00万の人命のみならず、あらゆる生命が存続出来る条件を、塵と灼熱の内に、永久に奪い去った。

だが、宇宙時代の黙示録は、まだまだ続きがあった。
どの大国も、逆説的に敵による際限のない浄化作戦を極度に恐れ、より強大な力を求めていたからだ。

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