奈央と出会えたから。<319>
『“騎馬戦”出る人、次だからね〜!!』
体育祭実行委員のヒト達の声が響き渡る。
『奈央。じゃあ、あたし行ってくるね。』
『うん。ユカ、頑張ってね!!』
パンッパンッパパパンッ―ー‐
爆竹の音と、煙幕が焚かれ、
大河ドラマのサントラが流れる中、
参加する全ての隊が揃って入場した。
“今年から騎手役は女だもんな?!”
“おぉ!!俺も騎馬役やりてぇ〜。”
“3年の美雨先輩セクシー☆やらせて〜♪”
“ちょっとやめてよッ!!バカ男子!!”
“そーよ。バカじゃないの?!”
毎年恒例のコトらしいケド、“騎馬戦”は、やたらと男子に人気があった。
そもそも去年までは、男子のみ参加だった、この種目。
ここ何年か、ケガ人が続出したというコトで、
今年からは男女混合で、騎手は女子のみというルールに変わったんだ。
男子としては、盛り上がっていきたい所なのだろうケド。
1チームから9組出場するので、6チームで合計54組の参加になる。
3回戦勝負で、時間内に、どれだけ要領よく騎手のハチマキを奪えるかで、勝敗が大きく左右するんだ。
“おしっっ!!秋田谷が黄色のハチマキ取ったぞ!!”
“やるじゃん秋田谷!!”
“行けぇ――!!
秋田谷ぁ――!!”
クラスメイト達の声援が飛び交う。
ユカ頑張れっっ!!
心の中で、そう叫んでるあたしは、
実は、人の心配なんてしてる余裕なんてなかった。
刻々と近付いてくるリレーの時間。
ドキドキドキドキ――
あぁ、もう直ぐ“騎馬戦”も終わる。
あたしの出場する“スウェーデンリレー”まであと少し。
“騎馬戦”のBGMに流れている和太鼓の音と同じ位、
あたしの心臓の音も激しく鳴り響いていた。
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