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MOON TEARS-近づく距離-

[273]  なぉ  2009-02-11投稿
尚ちゃんの携帯の着信音だけ、みんなとは違うのにしていた。
音がなるほんの数秒が嬉しくて…
今は聞こえないあのメロディーが今もなお、私の心をふるわせる。

表示された携帯画面の友達の名前に油断して出た。

「お疲れ」
…尚ちゃんだった。
面食らって声がでない。
「桃ちゃん?」
尚ちゃんが私の名前を呼んだ。

「名前…知ってるんだ」
「なんだ聞こえてるんじゃん。名前ぐらい知ってる」
尚ちゃんはいつもみたいに明るい声だった。

「熱、下がって良かった」
「ありがとな、…薬」
「どうして?」
知ってるんだろう…
「携帯知らなくて」

「いや、そっちじゃなくて」なんだか私一人パニッてるのがわらけてきた。
「ん?」
なんだかどうでもいいや。
「携帯、教えて」
「おん、これから送るわ」
「うん」
私がそういうと携帯の持ち主に変わられた。

「ごめん、驚いたよな?こいつうるさくて」
「いえ」
「じゃ、またな」
そう言って電話が切れ、尚ちゃんの携帯番号とメールアドレスが送られてきた。

なんだか変な遠回りをして私達は少し近づけた気がした。
教えてもらったアドレスに早速メールしてみた。
作っては消して…
作っては消してを繰り返していた。

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