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航宙機動部隊前史後編・33

[533]  まっかつ  2009-02-13投稿
そして遂に―大国群は許されざる聖域にまで手を付け出した。
まず生物化学兵器が現れ、遺伝子操作による戦闘獣が続き、同じくバトルロボットが量産され―やがてそれは、人間自体をいじくる挙にまで繋った。
どれもこれも、最終戦争《ハルマゲドン》を完遂するためと言う大義名分によって正当化されて行った。

当然これは、本来なら宇宙文明の倫理面を統制する宗教界が全て禁ずる所の筈だ。
だが―その宗教界自体も混迷を深め、本来の姿も力もとうの昔に失われていたのだ。
彼等の中からすらも、最終聖戦論者が台頭し、あらゆるタブーを廃すべきと言う新文明派《ネオシヴィ派》が猛威を震い、本来の教義がまっ二つに引き裂かれてしまっていたからだ。

銀河元号一五九0年になると、大国群も三つにまで統廃合され、同一五九三年には、二つを残すのみとなっていた。
それぞれ後銀河連合《GU?》と星間国家協同体《SNS》である。
既に有名無実の宙際連合は、一五八五年に滅ぼされていた。

戦いの構図は、聖戦原理主義を掲げる後銀河連合の手段を選ばぬ攻勢に、星間国家協同体側が阻止に出る形で勧められた。
だが、先に最終兵器に手を付けたのは、後者であった。
人類種の遺伝子改造と人工出産《製造》による大量生産で戦闘サイボーグ集団を前線に送り出した後銀河連合は、それを応用して次世代人類《超人》を誕生させると言う誘惑に勝てなかった。
より正確には―最初からそれを狙って研究を勧めていた。
さすがに宗教界も、保守を中心にこれには抵抗した。
新文明派ですら、求めるのは人類の未来であって、人類の進化等ではなかったからだ。
宗教界は後銀河連合の抱く構想をぶっこわすため、星間国家協同体に接近し、その後盾を引き受け、実を言えば―最終兵器を開発する《マルドゥク計画》を持ち込んだ張本人にまでなった。

ドクター=キマリと言う男がいる。
その経歴はほとんどが謎で、生没年まで不詳で、非存在説から個人ではなくとある集団を指した隠語だとまで言われているが、ただ一つ、彼《彼女》が最終兵器を開発した事は確実だった。
そのキマリの下に科学者だけで四0万人も集められ、末端まで含めると二000万人が参加した空前絶後の計画が、こうして始められた。
宗教界は必要な資金と秘匿していた情報を惜しみ無く提供し、計画を急がせた。

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