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DREAD 『訪問者』

[839]  lime  2009-02-14投稿

夜のバスターミナル。ヘレンは腕時計を何度も気にしながらベンチに腰を掛け、バスを待つ。その時、彼女は突如と不気味な気配を感じ取り、辺りを見回した。そして彼女は驚愕する‥
「は‥はぁ‥嘘でしょ…」
彼女の視界に飛び込んで来たもの‥それは何と自分と瓜二つの女性がバス停の前に立ち、こちらを不気味な笑顔で見つめていたのだ。彼女は放心状態となりただそこにいるもう一人の自分と目を合わせている。すぐにその場から立ち去ろうとするが恐ろしくて足がすくみ、立ち上がることが出来ない‥すると、バス停にいるもう一人の自分の隣りに立っていた男が彼女の元へとやってくる。
「隣りいいかい?」
優しく男は声をかけてきたが、彼女はとっさに大声で男に向かって言い放つ。
「あなた!見たでしょ!私とそっくりな女がバス停にいるのを!ほらっ、そこに!」
彼女はバス停の方を指差し、必死に訴えたが、既にもう一人の自分の姿はそこにはなかった。
「何言ってるんだ?誰もいないじゃないか。確かに、俺はずっとあのバス停の近くにいたが、あんたとそっくりな女どころか、人なんて誰も来てないぞ。ふっ、目を覚ましな姉さん。」
それを聞いて彼女は愕然とした‥確かにいたはず、こっちを見ていた‥それは間違いない‥その後彼女は気分が悪くなりトイレで用を済ますと、手を洗うため鏡の前に立つ。すると手を洗っている彼女は再びあの不気味な気配を感じ取る‥そして、そっと顔を上げると鏡に目を通した。
「!?」
彼女は目を疑った。だが、そこに写るのはやはりもう一人の自分‥思わず彼女は振り向いてしまった。そこにはやはりもう一人の自分が背後から不気味な笑顔を浮かべながら自分を見つめている‥
「キャァァァ!!!!」
悲鳴をあげながら彼女はトイレを飛び出し、先程の男の元へと駆け寄る。
「助けて!助けて!間違いなくいるのよ!!もう一人の私がいるのよ!お願い助けて!」
「お、おい!落ち着け!」
彼女は涙を大量に流し必死に男に訴えるもついには発狂してしまいそれを見かねた男に警察に通報されてしまう。
「もう一人の私が!もう一人の私が!
助けて!助けてー!」
暴れる彼女を何とかパトカーに乗せ、パトカーはターミナルを去っていく…
「とんだお騒がせもんだな…」
男はそう言いベンチに腰を掛けると煙草に火を付けた。

だが、彼は突如と不気味な気配を感じ取る‥
「はぁ‥嘘だろ‥」

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