心のコップ1
なあ中島、覚えてるか?
僕らの、最後のステージをさ…。
「今日は、おれら『シマシマ』の最後の漫才でーす!」
大きなホールで、お客さんの拍手が僕らに降り注いだ。
あの日は、僕と中島の最後の漫才をやった。
「おれ、もうすぐ天使になりまーす」
中島ったら、無理に明るくしてた。
「なあ嶋田、おれ、生まれ変わったら、ここにいるお客さんになりたいんだ」
「いきなりなんだよ!意味わからんし」
僕のツッコミ、ちょっと切れが悪かったかな?
「だって、『シマシマ』の漫才を生で見れるじゃん」
「どんだけ自分らの漫才気に入ってんだよ」
漫才が始まって5分くらいだったかな。
僕らの、本当の漫才が始まったんだ。
「おれ、今から天国行くわ」
中島が手で銃をつくって、自分の頭に向けた。
「いっちまうんかい!」
そして僕は、このツッコミを繰り返す。
「いっちまうんかい!」
1文字1文字に、心を込めた。
ついつい、涙が出ちゃうんだなあ。
中島がもうすぐ、本当に逝っちゃうことを考えると…。
僕の心のコップから、悲しい気持ちが溢れ出したんだ。
僕のは特別大きいから、今までずっとこぼさずに耐えてこられた。
でも、もう無理。
ずっと気持ちをためてきた分、たくさん溢れ出した。
溢れ出した悲しい気持ちが、全部涙に変わってさ、
滝が2つ、僕の顔に現れた。
「いっちまうんかい!」
中島は、黙って僕につっこまれていて。
それを続ける僕らを、お客さんは冷たい目で見ていたんだろうな。
ー続くー
僕らの、最後のステージをさ…。
「今日は、おれら『シマシマ』の最後の漫才でーす!」
大きなホールで、お客さんの拍手が僕らに降り注いだ。
あの日は、僕と中島の最後の漫才をやった。
「おれ、もうすぐ天使になりまーす」
中島ったら、無理に明るくしてた。
「なあ嶋田、おれ、生まれ変わったら、ここにいるお客さんになりたいんだ」
「いきなりなんだよ!意味わからんし」
僕のツッコミ、ちょっと切れが悪かったかな?
「だって、『シマシマ』の漫才を生で見れるじゃん」
「どんだけ自分らの漫才気に入ってんだよ」
漫才が始まって5分くらいだったかな。
僕らの、本当の漫才が始まったんだ。
「おれ、今から天国行くわ」
中島が手で銃をつくって、自分の頭に向けた。
「いっちまうんかい!」
そして僕は、このツッコミを繰り返す。
「いっちまうんかい!」
1文字1文字に、心を込めた。
ついつい、涙が出ちゃうんだなあ。
中島がもうすぐ、本当に逝っちゃうことを考えると…。
僕の心のコップから、悲しい気持ちが溢れ出したんだ。
僕のは特別大きいから、今までずっとこぼさずに耐えてこられた。
でも、もう無理。
ずっと気持ちをためてきた分、たくさん溢れ出した。
溢れ出した悲しい気持ちが、全部涙に変わってさ、
滝が2つ、僕の顔に現れた。
「いっちまうんかい!」
中島は、黙って僕につっこまれていて。
それを続ける僕らを、お客さんは冷たい目で見ていたんだろうな。
ー続くー
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