トシウエトモダチ
「あ、この曲好き!」
助手席に座った成田くんが車のオーディオを操作して選んだのは、今流行りの男性ボーカルの明るい曲だった。
あたしは特に何も返事せず、運転に集中するふりをする。信号が黄色に変わり、ブレーキを踏んで車を停める。
音楽はひたすら、恋人をいかに愛してるか、ずっとそばにいて欲しいと明るく歌いあげている。
こっそり、ため息をついて窓から外を見る。
隣から聞こえてきた検討外れな歌声をシャットダウンするようにして、あたしは、その曲が好きだった、年上のあの人のことを考える。
10歳年上で独身、185?、痩せてるけど筋肉がついた腕。あたしの髪を、優しく撫でてくれた指。
いつも、強引で柔らかく動く舌。
彼女と同棲中。
考えてるうちに目的地に着いたらしい。エンジンを切り、キーを取り、車から出てた。
今はとりあえず忘れろ、と念じて少し強めに車のドアを閉めたら
自分が思ったよりもだいぶ大きな音が駐車場に響き渡った。
助手席に座った成田くんが車のオーディオを操作して選んだのは、今流行りの男性ボーカルの明るい曲だった。
あたしは特に何も返事せず、運転に集中するふりをする。信号が黄色に変わり、ブレーキを踏んで車を停める。
音楽はひたすら、恋人をいかに愛してるか、ずっとそばにいて欲しいと明るく歌いあげている。
こっそり、ため息をついて窓から外を見る。
隣から聞こえてきた検討外れな歌声をシャットダウンするようにして、あたしは、その曲が好きだった、年上のあの人のことを考える。
10歳年上で独身、185?、痩せてるけど筋肉がついた腕。あたしの髪を、優しく撫でてくれた指。
いつも、強引で柔らかく動く舌。
彼女と同棲中。
考えてるうちに目的地に着いたらしい。エンジンを切り、キーを取り、車から出てた。
今はとりあえず忘れろ、と念じて少し強めに車のドアを閉めたら
自分が思ったよりもだいぶ大きな音が駐車場に響き渡った。
感想
感想はありません。