奈央と出会えたから。<323>
『木下!!頼むゼ!!』
トップに躍り出た第2走者の古原から、
2位と大差をつけた状態で、
あたしはバトンを受け取った。
“うおぉ〜!!木下行けぇ〜!!”
“転ぶなよー!!”
“木下さぁ〜ん!!頑張ってぇ〜!!”
赤組の仲間達が、あたしに声援をくれる。
大丈夫。
きっと、うまくやれる。
2位とは半周ほどの差がある。
古原がここまで大差をつけてくれたんだ。
うまくこのペースで切り抜ければ、
きっと大丈夫。
100m突破――
後ろを振り返る。
まだ、追いつかれない。
やった!!ラッキー!!
多分、白組の第3走者のヒトも、あたしと同じ位、
走るのが苦手なヒトなんだ。
はぁはぁはぁはぁ――
大丈夫。
ここまでは、うまくいってる。
もう直ぐ200m――
このままのペースで行けばいいんだ。
このままで行けば――
その時だった――
ガクンッッ――
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
地面に出来ていた、わずかな凹凸に、
あたしは足を取られ、転んでしまった。
やばっっ!!
早く立たなきゃ!!
白組に抜かれてしまう!!
『‥‥痛っっ。』
どうやらあたしは、捻挫してしまったらしい。
どうしよう。
歩けない。
『おっ先にぃ〜♪』
抜かれた――
大差をつけてたはずの白組に、
ついに抜かれてしまった――
“おいおい、木下何やってんだよ!!”
“マジかよ、おい。ばかじゃねーの、アイツ。”
“早く立てよ!!また抜かれんぞ!!”
“いやあぁぁ〜!!古原がせっかく大差つけてくれたのに〜!!”
“しっかし、ダセーよな、木下は!!”
“どんくせーし、トロイんだよ。”
“だいたい、木下にリレーなんてやらせるかよ???”
“仕方ねーだろ?!スウェーデンリレーに出たいヤツなんて誰もいなかったんだから。”
同じ赤組の仲間達の声が、チクチク胸に突き刺さる。
早く、立たなきゃ。
早く‥‥早く‥‥‥。
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