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奈央と出会えたから。<323>

[533]  麻呂  2009-02-19投稿

『木下!!頼むゼ!!』



トップに躍り出た第2走者の古原から、


2位と大差をつけた状態で、



あたしはバトンを受け取った。



“うおぉ〜!!木下行けぇ〜!!”



“転ぶなよー!!”


“木下さぁ〜ん!!頑張ってぇ〜!!”


赤組の仲間達が、あたしに声援をくれる。



大丈夫。



きっと、うまくやれる。



2位とは半周ほどの差がある。



古原がここまで大差をつけてくれたんだ。



うまくこのペースで切り抜ければ、



きっと大丈夫。



100m突破――



後ろを振り返る。



まだ、追いつかれない。



やった!!ラッキー!!



多分、白組の第3走者のヒトも、あたしと同じ位、



走るのが苦手なヒトなんだ。



はぁはぁはぁはぁ――



大丈夫。



ここまでは、うまくいってる。



もう直ぐ200m――



このままのペースで行けばいいんだ。



このままで行けば――



その時だった――



ガクンッッ――



一瞬、何が起こったのか分からなかった。



地面に出来ていた、わずかな凹凸に、



あたしは足を取られ、転んでしまった。


やばっっ!!



早く立たなきゃ!!


白組に抜かれてしまう!!



『‥‥痛っっ。』



どうやらあたしは、捻挫してしまったらしい。



どうしよう。



歩けない。



『おっ先にぃ〜♪』


抜かれた――



大差をつけてたはずの白組に、



ついに抜かれてしまった――



“おいおい、木下何やってんだよ!!”


“マジかよ、おい。ばかじゃねーの、アイツ。”



“早く立てよ!!また抜かれんぞ!!”


“いやあぁぁ〜!!古原がせっかく大差つけてくれたのに〜!!”



“しっかし、ダセーよな、木下は!!”


“どんくせーし、トロイんだよ。”



“だいたい、木下にリレーなんてやらせるかよ???”



“仕方ねーだろ?!スウェーデンリレーに出たいヤツなんて誰もいなかったんだから。”



同じ赤組の仲間達の声が、チクチク胸に突き刺さる。



早く、立たなきゃ。


早く‥‥早く‥‥‥。

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