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奈央と出会えたから。<324>

[608]  麻呂  2009-02-19投稿

こうしている間に、


1人、また1人と追い抜かれ、



あたしは遂に5人全員に追い抜かれてしまった。



もう少しで完走出来るはずだったのに。


みんな、ごめん!!


立てなくて恥ずかしいのと、



完走出来ない悔しさで、



あたしは動揺していた。



じわっっ‥‥。



やだ、涙が。



とりあえず、立たなきゃ‥‥。



そう思ったそのトキ、



座り込んだままの、あたしの背後から、手が差し伸べられた。



『ほらっっ。バトン貸せ。』



えっっ?!



ま、聖人???



なんで???



今日は休みだったんじゃ‥‥???



『秋田谷ァ―!!

奈央頼む!!』



聖人は、赤組の応援席にいるユカに、そう叫ぶと、



あたしからバトンを取り、



残り約100mの距離を走り出した。



“おい、あれ北岡だろ?!バカかアイツ。もう残り100mだろ?!

100mじゃ、アンカーに繋げるコト位しか出来ねぇじゃん。”



“北岡が木下の走る分、残り100mを走ったって、残るアンカー1人で全員を抜いて、またトップに躍り出るコトは無理だろうに。

と言うコトは、走るだけ無駄な抵抗だってコトだろ?!”



“体育祭を今年もスルーしたヤツが、自分の女の前だからって何カッコつけてんのヨ?!

ケッ。カッコつけてんじゃねーよッ!!”



数々の罵声が飛び交う中、



ユカが息せききって、あたしのもとへ走って来てくれた。

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