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奈央と出会えたから。<325>〜訂正版〜

[637]  麻呂  2009-02-20投稿

『奈央!!大丈夫?!立てる?!』



『うん。大丈夫‥‥じゃないみたい。』


『つかまって。保健室行こッ。』



ユカに手を貸してもらいながら、何とか立ち上がるコトが出来たあたしは、



ユカに支えられながら立ち、聖人の走る姿を見ていた。



“すげっっ!!おいみんな見てみろよ!!北岡のヤツ。片っ端から抜きやがるゼ!!”



“マジかよ、おい!!なまら早ぇじゃん!!アイツ、あんなに足速かったのか?!”



“陸上部でもいねーよ、あんなに速いヤツ。”



“おい!!ついに2位まで上がったゼ。あと1人だ!!”



みんな、



聖人の姿に目を奪われていた。



全校生徒の目が釘付けだった。



『奈央‥‥。聖人すごいよ‥‥。アイツ‥‥心臓弱いのに。』



『‥‥‥。』



ユカの言葉に、



あたしは何も返せなかった。



聖人。



来てくれてたんだ。


あたしの為に、



走ってくれてる。



あたしの為に‥‥‥。





“北岡―――!!

あと1人だ!!抜け―――!!”



“お、おい、マジで抜くんじゃね?!”


夢を見ているみたいだった――



目の前の、この光景が――



あなたの、走る姿が――



とてもまぶしくて――





“キャーッ!!北岡が最後の1人を抜くわよ!!”



“北岡行け――!!”



あと、数メートルでアンカーにバトンタッチ。



聖人!!頑張って!!



神様っっ――





『奈央!!見て!!』



『う、うんっっ。』


アンカーにバトンを渡す、数メートル手前で、



聖人は最後の1人を抜いた――



『アンカー!!頼むゼ!!絶対1位だからな!!』



すごい‥‥。聖人。


あたしが抜かれた5人全員抜き返しちゃったよ。



“キャー!!北岡君〜〜〜♪”



“ア、アイツ‥‥や‥やりやがった‥‥。”



“とても人間わざとは思えねぇ!!”



“すげぇ!!北岡、アイツは、すげ―よ!!”



赤組の仲間達が口々に聖人のコトを褒めたたえた。



赤組だけじゃなくて、



他のチームの者も、みな、聖人に注目していた。

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