電気もつけず、月の光だけが注す部屋で
ぼーっと寝転んでいた

まだ頭がくらくらする

何度も何度も思い返していた

そしていつの間にか、眠りに落ちた


次の日、目が覚めた

腕が…体が…
酷く筋肉痛になった

そしてまた夕べの練習を思い返す

辛い事も思い出す
同時に

来週もいくのか？

自問自答を繰り返す


新しい週になり
仕事をしながらも、空手の事が気になっていた

練習の日が近づいてくる
悩みながらも少し楽しみにしてる自分がいた


土曜日、仕事は休みだ
決心はついた！

まず形から入ろうと思い
スポーツ店でお洒落なジャージを購入

そのジャージを昼から着て準備していた

待ちに待った夜がきた
愛車にまたがり、道場へと急いだ

こんばんはっ

道場の扉を開け、精一杯声を出した

みんながこっちを見る

「お〜、よう来たなぁ」

暖かい声がした

先週のおれの様子を見て、来ないと思ってたらしい

今日は始めから、みんなと一緒に練習

一回経験してるしな。前みたいにわ…

気合いを入れ、練習が始まった


酸欠で倒れた。

どうやら、おれの運動不足は深刻らしい

練習が終わり片波さんが

「若いのにね」

ニコッと笑いながら言う
「は、はい…」

恥ずかしかった

「家で腕立て伏せとスクワットやれ」

横から言ってきた大広さんは56歳で趣味は、ボディビル
道着がパンパンに見える

「あたしにもできるし〜大丈夫」

女の子も声をかけられた

気付けば、おれが中心に輪ができていた

こんな光景、生まれて初めてだった

楽しい…


家に帰ってからも相変わらず
酸欠でクラクラしていたが

今日の出来事に
そして、来週の練習に
胸が激しく高鳴っていた。

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