「浮かない顔をしているね」



ボーっと空を眺めてたとき
背後から綺麗な声が
飛んできた



「なんだ、ヒカルか…」



振り返れば茶色の髪の
同期が居た



「随分と残念そうだね…」

僕じゃ不満だった?



なんて言いながら、
すっと隣に立つ



別にそういうわけじゃ…



言い掛けて、ヤメタ



ヒカルに嘘吐いたって
見破られるのは目に見えてる



「彼と上手くいってないんだ?」



瞬時にして
核心を突くヒカルは
やっぱり何でもお見通しだ



「んー…」



溜めた息を一気に吐き出して
もう一度吸い込む

そうしないと
上手に呼吸ができなかった



「それでも好きなの?」



チクリ、
ヒカルの言葉が突き刺さる



「………分からないや」



曖昧な答えをしたら



なんだよ…それ、って
笑われた



本当にね、分からないんだよ

彼と居れば楽しいけれど
それと同じくらい
辛いこともある

でもそれって
恋には付き物でしょ?



楽しいだけの恋なんて
ありえないはずだもの

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