携帯小説!(PC版)

生の証

[358]  アイ  2009-02-23投稿

このまま停滞していたいと思う私は、どこか間違っているのだろうか。

不安と安寧を同時に抱えたまま。

朽ちることもなければ、変わることもない。

ただ落ちてゆく、闇。

痛みは常に胸にあって、心の表面に傷をつける。

どこにも属したくない自分がいた。

でも属さないということは――生きることを放棄するということだ。

この厄介な人間世界。

空気と風しかない世界に生まれていたら、どんなに楽だったろう。

私はきっと風になって、誰の指図も束縛も受けず、果てしのない空を飛んでいくんだ。

自由になりたい。

本当の意味での、『じゆう』。

ただそれだけが望みで、でも叶わない願い。

この重い体を置いてはいけない。

大切な人たちを置いてはいけない。

ああ、そうか。妙に納得して、私は笑った。

それが『生きる』ということだ。

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