奈央と出会えたから。<326>
そのトキ、あたしは、すぐに聖人の異変に気付いた。
胸を押さえて、その場にしゃがみ込んでしまったんだ。
『聖人の様子が変!!ユカ、あたし聖人のトコ行ってくる。』
『待って、奈央。あたしも行くよ!!』
おそらく、捻挫をしたと思われる足を引きずりながらも、
あたしは、ユカに手を貸してもらい、聖人のもとへ急いだ。
『聖人!!大丈夫?!』
とっさに掛けた声。
聖人は、あたしの声に気付いた様子はなく、
胸を押さえながら、うずくまったままだ。
『聖人、胸が苦しい?!走りすぎだよ!!無茶しすぎ!!
心臓弱いのに。
立てる?!奈央と一緒に保健室行くよッ!!』
うずくまったままの聖人の顔を覗き込みながら、ユカが言った。
“おい、北岡どうしたのよ?!”
“そういえば、北岡君て、心臓弱くて2年ダブってんのよねぇ?!”
“マジ?!心臓弱いヤツが、あんな走り出来るか?!
やっぱ、アイツはただ者じゃねぇ。”
“ちょっと、ヤバくね?!さっきから、ずっと、うずくまったままだゼ?!”
“誰か、様子見て来いよ?!”
“オクサマがさっきから見てるだろ?!”
“あ?!木下かぁ?!ヒャハハハ。”
ザワザワザワザワ――
辺りがざわつき始めた。
みんな、さっきまでは聖人の活躍を喜んで見ていたくせに。
何を好き勝手なコトを言ってるの?!
興味本位で見ないでよ!!
『奈央。ちょっと待ってて。あたし、誰か呼んで来る。
とにかく、保健室に連れて行かないと。』
『うん。ごめん、ユカ。急いでね。』
えっっ???
あたしが、そう言い終わらないうちに、
聖人にTシャツの端っこを引っ張られた。
『‥‥ぶぉけッ!!
よけーなコトすんなッ!!』
えぇっっ???
よ‥‥余計なコトって‥‥‥。
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