天国 2
「天国!?」
俺とカズは声を上げた。
「はい。ここは天国です。最高の楽園です。どうぞ楽しんでください」
男は優しい声で言った。
本当に天国なのか。そんな馬鹿な。あの飴玉のせいで?
「ほらね兄さん。やっぱりこれたじゃない天国」
脳天気にカズは俺に自慢をしてきた。
「ば、馬鹿。こんなの夢に決まってるだろ」
しかし言葉とは裏腹に身体がそう思わせなかった。ここが天国だ。これが天国だと脳が言う。最初から知っていたように否定できない。
「さあ。着きました。」
男は俺達を舟から下ろした途端消えた。そこから丘を登ると待っていたのは楽園だった。やったよ兄さん。本当に楽園だ。そう言ってカズは芝生あふれ、テレビも、ベッドも、食べ物も何でもある広場を走り回った。
この光景が信じられなかった。
「信じないぞ天国なんて。行ける、行けないの前に天国は存在しない」
そう思っていた。しかし1時間も経った頃にはカズと一緒に楽園を堪能していた。楽し過ぎた。時間の経過なんてとっくの昔にわからない。日ごろの生活のストレスが全て風船のようにパンパン割れて消えていった。
「あれ?人がいるよ」
ローストビーフをかじりながらカズは広場の奥を指差した。そこまで行ってみた。そこには四人の人がいた。男だったり女だったりみんな意外と若い。話を聞くと四人共あの飴玉を食べ、ここに来たという。まさか本当に来れるとは思わなかったらしいが。
「う、うわぁぁぁ!」
そこでカズが四人がいる隅を見て叫んだ。そこには大きな袋があった。袋の中には人の死体があったのだ。
「な、何だよこれ」
「ああ。神様に地獄に堕とされた人ね」
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